彼と彼女



彼は、彼女と暮らしていた。

彼女は、言葉が喋れなかった。

身体も動かせなかった。

だから、彼は、常に考えた。

彼女は、何がしたいのか?

何を求めているのか?

周りの人々は、そんな彼に毒づいた。

「そんな女、捨ててしまえ!」と・・・。

それでも彼は、彼女に尽くした。

ある日の事、彼女が、初めて言葉を話した。

小さな声でささやいた。

「私は、あなたを、愛しています。」

彼は、涙を流しながら優しく答えてあげた。

「僕も、君を、愛しています。」



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