ふたり



ボロボロの安アパートに住み、

カップラーメンばかり食べている。

汚いせんべい布団一枚しかなく、

寒い夜は抱き合って眠る。

休みの日には、手を繋いで、

近所を散歩するぐらいしか出来ず、

大抵、TVを見ながらゴロゴロしている。

お互いの親を大事にして、

墓参りは欠かさず、

それを当然と思う。

何も財産は無く、ひたすら貧乏で、

ただお互いの愛情が有るだけだ。

誰かに連れ合いの悪口を言われれば真剣に怒り、

何が起きてもお互いを信じて味方をし、

一緒に年を重ねる。

ふたりが年老いてヨボヨボになっても、

シワの増えた相手を愛しく思い、

いたわり合って生きていく。

どちらかが先に死んでも、

その愛情は消えず、

自分が死ぬまで想い出を抱きしめて生きていく。

ふたりが死んで骨になり、

同じ墓に葬られ、

その墓もやがて消えて無くなってしまう。

ただ、ふたりの心だけが一つになって、

戻るべき場所に帰るだけ。

そんなふたりに憧れる。



もどる

inserted by FC2 system