冷たい手



キミといると楽しすぎて

何だか夢を見てるみたいで

いつも現実感が無くなる。

手を繋いで街を歩いたり

プリクラを撮ったり

遊園地の観覧車に乗っても

僕は、不思議な気持ちでボンヤリしてしまう。

二人で向かい合って御飯を食べたり

洗い物をする後ろ姿を眺めても

これは夢じゃないのかと思う。

ただキミの手の冷たさはリアルだ。

ダブルベッドを買ってとか

部屋の壁紙を変えてとか

タバコは、換気扇のあるところで吸ってとか

キミは、僕にワガママを言うけど

甘えたかったんだね。

淋しかったんだね。

僕が、キミの冷たい手を暖めてあげるよ。

貧乏で出世の見込みも無い僕だけど

精一杯キミの手を暖めてあげるよ。

そんなことを想いながら

僕は、車に残ったキミの残り香を

そっと抱きしめた。



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