戦場にて



気が付けば、僕は、戦場にいた。
戦っているのは、僕一人だと思っていた。
心の底から孤独だった。

ジャングルを抜けると視界が開けた。
なんと、そこで、他にも戦っている人を見つけた。
「僕を、仲間にして下さい!」
その部隊の隊長は、「ああ、いいよ!」と言った。

なかなか部隊に馴染めない僕に優しく声をかけてくれる人がいた。
僕は、その人を先輩と呼んだ。

ある日、先輩が、「俺のテントに遊びに来ないか?」と誘ってくれた。
僕と先輩は、テントで、語りあった。
「僕は、本当は、戦争なんて、したくないんです。
他の奴らみたいに、南の島で楽しく暮らしたいんです。」
「ハハハ、俺だってそうさ!でも、今は、戦うしかないのさ!」
先輩は、僕に武器の使い方を教えてくれ、
とっておきの弾薬も分けてくれた。
僕は、先輩を慕った。

あくる日、僕は、見回りの途中で、南の島へ行くチケットを拾った。
僕は、武器を捨て、一人、ここから抜け出そうとした。
でも、そのチケットは、偽物だった。
しょげ返る僕に、隊長と先輩が言った。
「元気を出せ!俺達がいるだろ!」
僕は、その言葉を聞いて泣いた。
僕は、再び武器を握りしめ、二人と同じ軍服を身に付けた。

隊長は、進む!道無き道を進む!
自分が、先頭に立ち、後に続く者の為に!

やがて、平原に出た。
これから、楽になると思ったその時、
先輩が、敵の銃に撃たれてしまった!
誰よりも頼りにしている先輩が、倒れた!
 
隊長は、もう遙か彼方まで進んでいる・・・。
僕は、また、この戦場で一人になるのか?!

先輩は、力無く呟いた。
「俺に、かまうな。先に行け。」
僕は、どうしても、先輩と進みたかった。
隊長に追いつきたかった。

「何を言ってるんですか?!
今の僕があるのは、先輩のおかげです!
隊長も、他の人も、皆、先輩を待ってますよ!」
「もういいんだ、放っておいてくれ。」

僕は、今こそ、この言葉を言おうと思った。
「みんな、先輩が好きなんです!
僕等は、戦友じゃないですか!
みんなで、約束の地へ行きましょう!」

僕は、先輩が立ち上がるのを待った・・・。


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