ひとみの部屋



僕は、ひとりで散歩をしていた。
その日は、いつもと違った道を選んだ。
初めて歩く道なのに、見覚えのある景色・・・。
そうだ、ひとみさんの住んでる町だ!

ひとみさんというのは、僕が、インターネットで見つけたホームページ
「ひとみの部屋」を作っている人だ。
今、女子大生で、一人暮らしをしている。
僕は、そのホームページに載せられている写真を見て
ひとみさんに一目惚れしてしまった。
実物のひとみさんに会いたい!

その景色は、ひとみさんが、自分の部屋から見える景色だと
ホームページに載せている写真、そのものだった。
僕は、そのあたりにあるマンションをしらみつぶしに調べた。
そして、「ひとみ」と書かれた表札を見つけた。
ここだ!ここが、「ひとみの部屋」だ!

チャイムを鳴らしてみる。
返事がない。
入り口に置かれている植木鉢をどけてみる。
鍵があった!
この部屋の鍵に違いない!

悪い事だと知りながら、鍵を開けて、部屋に入った。
ワンルームの部屋に、パソコンだけがポツンと置かれている。
そのまわりに、コンビニで買ったと思われる食べ物のゴミが
散らばっている。
パソコンに電源を入れる。
ハードディスクに「ひとみ」と書かれたフォルダがあった。
開いて見てみると、沢山のひとみさんの写真。
やはり、ここが、「ひとみの部屋」だ!

ひとみさんが、住んでいる部屋。
ひとみさんのパソコン。
ひとみさんが、触ったキーボード。
ひとみさんの写真。

僕は、堪らない気持ちになり、そこで、自慰行為を始めた。
もしも、ひとみさんが帰ってきたら、レイプすればいい。
どうせ僕は、もう、犯罪者だ。
恐いものは、無い。

その日、ひとみさんは、帰らなかった。

僕は、それから、何度も「ひとみの部屋」に忍び込んだ。
そして、自慰行為に耽った。

パソコンの画面に写るひとみさん。
ひとみさん・・・、ひとみさん・・・。

突然、ドアが、開いた!
「ひとみさんが、帰ってきた!」

それは、ひとみさんでは、なかった。
三人の人相の悪い男達だった。

「お前、何やってんだ?」
「い・・・いえ、その・・・、ここは、ひとみさんの部屋では・・・?」
「バカか、お前は?ひとみなんて女、いねえよ!
あれは、俺達が、金で雇ったプロのモデルさ。
インターネットで、スケベな男共を呼び出して
俺達が、金を巻き上げてるのさ。
警察に知らせたら、殺すと脅してな。」

ひとみさんは、実在しなかった!!

「ぼ、僕は、どうすればいいでしょうか・・・?」
「そうだな・・・。
俺達は、訳があって警察に通報する事ができない。
ハッハッハ、いいことを思いついたぜ!
これから、お前に『ひとみの部屋』よりも
もっといい物を見せてやるぜ!」

男達は、ニヤリと笑った・・・。




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