訪問販売



チャイムの音がした。
ドアの覗き穴から、外を見てみると、一人の若い女が、立っていた。
「はい。」と返事をして、ドアを半開きにした。
女は、隙間に身体を割り込ませ、話し始めた。
ある電話会社からの訪問販売であるらしい。
こういう者ですと、黒いカーディガンをまくり、胸の名札を見せた。
僕は、名札を見ずに、女の胸を見た。
「大きい!巨乳だ!」
続いて、顔を見た。
「可愛い!アイドルみたいだ!」
電話機を見せてほしいと言われ、女を部屋に招き入れた。

僕は、つい先ほどまで、眠っていた。
布団も敷いたままだった。
服装も、パジャマのままだった。
女は、そんなことは、気にもかけずに、仕事を進めた。

「電話のコードは、パソコンに繋いでるんですか?」
「はい。いったん、パソコンに繋いで、そこから、電話に繋いでます。」

女は、パソコンの後ろに、回り込んだ。
その時、女の尻が、すぐ目の前に来た。
「はち切っている!ムチムチだ!」

部屋の中に、フェロモンにむせかえりそうな女と二人きり・・・。
この女の大きな胸を揉みしだきたい!
この女のはち切れそうな尻を撫で回したい!
全身、隈無く舐め回したい!

女は、電話機に、何やら機械を取り付け、説明を始めた。
「この機械を付けておけば、自動的に、一番安い回線に繋がるんです。」
「おいくらなんでしょうか?」
「無料です。」
「えー!?それじゃあ、僕が、一方的に得をするんですか!?」
「そうですよ。」

そんなウマイ話しがあるものだろうか?

差し出された書類に、必要事項を書き込む。
その間も、僕は、女の身体をチラチラ眺めた。

「これで終わりです。ありがとうございました!」

女が帰ってしまう!僕の部屋から出ていってしまう!

「あの・・・、コーヒーでも飲みませんか?」
「私、まだ仕事がありますので、失礼します。」
「いいじゃないですか!飲んでいって下さいよ!」
「いえ、御免なさい。」

女は、小走りに玄関に向かった。
「逃がしてたまるか!」
僕の理性のタガが吹っ飛んだ!

僕は、逃げる女の手首を掴み、後ろから羽交い締めにした。
身体中、性欲でパンパンに膨れ上がったみたいだった。
「頼むから、一回やらしてくれ!お願いだから!」

女は、落ち着いた声で言った。
「私のお乳を揉んで下さい。」
「えっ!?」
「作り物なんです。偽物なんです。」
「えっ!?」
「私、ホントは、男なんです。女に化ける方が、仕事を取りやすいから。」
「お、男!?」
「何だったら、あそこに触ってみますか?」

思わず手を離した隙に、その女に化けた男は、靴を履き、ドアを開けた。
「それでは、本日は、ありがとうございました。」
そう言って、深々とお辞儀をして、部屋を出ていった。

僕は、しばらく、玄関に突っ立ったまま、ぼんやりしていた。

あの身体の感触は、間違いなく女だった。
恐らく、あの女は、プロの訪問販売員なのだろう・・・。


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