ダーリンとハニー



ダーリンとハニーは、ラブラブでした。
今日も今日とて、Hに励んでいます。

プチッ!
「痛い!何をするのよダーリン!?」
「ハニーの大事なところの毛を、僕のお守りにするんだよ。」
「何を考えてるのよ!エッチ!バカ!ヘンタイ!」

そんなラブな生活をしている二人も、愛だけを食べて生きていけません。

「じゃあ、ダーリン。
私、お買い物に行ってくるね!」
「OK、ハニー!待ってるよん♪」
「行ってきま〜す!」

幸せは続きませんでした。
何とあろうことか!?ハニーは、車に轢かれて死んでしまったのです。

ダーリンは、毎日泣いて暮らしました。
あまりの寂しさに気が狂いそうになりました。

身体中の涙を流し切ったダーリンは、急に人が変わったようになりました。
猛烈に働き出したのです。
寝る間も惜しんで、働きまくりました。
顔付きも、だんだんと鬼の様な形相になりました。
ダーリンは、どんどん出世していき、自分の会社も設立し大金持ちになりました。

時は流れ、老人になったダーリン・・・。

ある研究所にやってきて、仕事の依頼をしました。
若い研究員が、恐る恐る対応しました。
「あの・・・、どうゆう用件なんでしょうか?」
「実は、妻のクローンを作ってほしいのだ。」
「えっ!?ダメですよ!
人間のクローンを作ることは法律で禁止されてるんですよ!」
「金ならいくらでも出す!10億か?20億か?」
研究員は、その莫大な金額に心を動かされました。
「わ、分かりました。引き受けましょう。
でも、この事は、くれぐれも内密にお願い致します。
それで、奥さんのDNAが残った品物は有るのですか?」
ダーリンは、1本のちじれた毛を差し出した。
「この毛は?」
「妻の陰毛だ。」
研究員は、驚きました。
「それで、私にクローンを作れと?
まあ、やれるだけやってみますがね。それにしても、傷んでますねー、この毛。」

ハニーのクローン製作が始まった。
実験は、失敗続き。
ダーリンは、その都度、大金を研究所に支払いました。
そのせいで、会社も潰れ、ダーリンは一文無しになってしまいました。

研究所を訪れたダーリンに、研究員が明るい表情で声をかけました。
「やりました!今度こそ成功です!」

培養カプセルの中に横たわっている裸の女は、紛れもないハニーでした。
カプセルが開けられ、ゆっくりと目を開けたハニーは、立ち上がり
ダーリンに近付きました。
そして、声を出したのです。

「ただいま、ダーリン。」
「おぉぉぉ・・・、お帰り・・・、ハニー。」

ダーリンがハニーを抱きしめると、ハニーの身体は液体のように崩れました。
ダーリンも、倒れてしまいました。

研究員が駆け寄りました。
「あちゃー、また失敗でした。
やっぱり陰毛でクローンを作るなんて無理だったんですよ。
あれ?もしもし?・・・、うわっ!死んでる!!
・・・これがあの鬼の様な顔付きの人だろうか・・・。
何て安らかな優しい死に顔なんだ・・・。」

ダーリンにとって、ハニーこそが全てでした。


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