ボイン宅配サービス



うららかな休日の午後だった。
ノックをする音がしてドアを開けた。
そこには、25歳ぐらいの女が立っていた。

「あ、こんにちわー。お一人ですか?」
「はい、一人です。」
「失礼ですけど、独身なんですか?」
「はい、独身です。」
「重ねて質問しますけど、恋人とかいらっしゃるんですか?」
「いいえ、いません。」
「そうですか。お邪魔しまーす!」

女は、上着を脱ぎながら玄関に入り込んできた。
目に付いたのは、その豊かな胸だ。
大きさ、形、どれを取っても文句が無い。
見事な逸品だった。

「あ、今、私の胸を見ましたね。」
「えっ!・・・、見ました。すいません。」
「いいんですよ。正直な人って、私、好きです。」
「どうも・・・。ところで、何なんですか?何かのセールスならお断りしますが。」
「はっきり申し上げましょう。これは、ボランティアです。」
「ボランティア?」
「そう、寂しい生活を送っておられる男性へのボランティアです。」
「寂しい生活・・・、確かに。」
「あなたは、私の胸を揉みたくないですか?」
「ええーっ!?」
「揉んでいいんですよ。」

あまりの嬉しい言葉に喜びを隠せない。
しかし、話が美味すぎるのではないか?

「今、此処でですか?」
「はい。ただし、触るのは胸だけです。時間は、1分間。」
「お金は取りませんよね?」
「はい、ボランティアですから。」

女は、腕時計を見ながら時間を計った。
「よーい、スタート!」

恐る恐る手を伸ばし、女の胸を触る。
服の上からでも、プニョプニョした感触が手に伝わってくる。

「あの・・・、直に触ってはいけないんですか?」
「ダメです。我が儘を言うと中止しますよ。」
「ごめんなさい、ごめんなさい!」

一心不乱に揉んでいると「はい、1分です!」という女の声が無情に響いた。

「では、ごきげんよう!」
女は、何事も無かったように帰っていった。
このモヤモヤした気分をどうしてくれるんだ!
これは、拷問に等しいのではないか?

次の休日にも女は、やってきた。
「また、揉みたいですか?」
「はい!よろしくお願い致します!」

僕は、女が休日ごとにやってくるのを心待ちするようになった。

今日も、女はやってきた。
僕は、考えた。
ただ揉むだけでは芸が無い。
ここは一つ、テクニックを見せるべきでは無いか?
プルプルと揺らしてみたり円を描くように揉んでみたり・・・。

激しくやりすぎたのか?
ブラジャーが外れてしまったようだ。
その瞬間、女の足元に何かがベチャッと落ちた。
電気クラゲの様な物体・・・、これはシリコンパッドだ!
女の胸はペチャンコになった!

女は、悲しそうに言った。
「とうとう、ばれてしまいましたね。
実は、私はペチャパイなんです。
あなたは、胸の小さな女なんてお嫌いですよね。」
「そんなこと無いですよ。
あなたは、胸が小さくても魅力的な人ですよ。」
「それなら私と結婚してくれますか?」
「はい。結婚します。」

教会で、ウェディングドレス姿の彼女に、僕は尋ねてみた。
「キミは、どうして僕の部屋に来たの?」

彼女は、意味深な笑顔を浮かべた。


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