携帯少女1


最近、携帯電話を新しい機種に替えた。
ただ何となくだ。
人付き合いの苦手な俺は、電話も苦手なのだ。
それなら、なぜ、携帯電話を持ってるかって?
それも、ただ何となくだ。

持ってるだけといっても鳴らない電話は寂しいモンだ。
俺は、滅茶苦茶な番号を打って電話をかけてみた。
良いじゃないか!俺にも携帯電話を使わせてくれ!

呼び出し音が鳴り、誰かが電話に出た。
「もしもし。」
若い女の子の声だ。ラッキー♪
「あの〜、時間があれば俺と話をしてもらえませんか?
嫌なら良いんですよ。直ぐに切って下さい。」
「良いですよ。お話しましょ。あなた、寂しいんですね。
なんなら、私が、そこへ行きましょうか?」
何だかヤバイ女に電話をかけてしまったかもしれない。
こりゃー、電話を早々に切る方が正解かもしれない。
「今から行きますからね。よいしょ!」
「えっ!!」
携帯電話の画面に女の顔が映されたと思ったら、そこから女が這い出してきた。
ズルッズルッ・・・!
あれよあれよという間に小さな女の子が出てきたのだ。
「なんじゃこりゃー!?」

「私、チイです。よろしくねっ♪」
身長10pぐらいの女の子チイが俺の携帯電話から出てきた。
こいつは何だ!?

「あなたのお名前は?」
「お、俺は、雄介!沖田雄介!」
自己紹介をしてる場合か!
俺は、一体何処へ電話をかけてしまったのだろうか?

「じゃあ、雄介君、これから、私が、いつも側にいてあげるから、もう、寂しくないよねっ?」
「おいおい、勝手に決めるなよ!お前って、一体何なんだよ?」
「私は、チイ。小さな女の子。雄介君、小さな女の子は、お嫌い?」
「小さいったって限度があるだろ?何も出来やしないだろ?」
「ひょっとしてHな事とか考えた?」
「違うって!もう、勝手にしろ!」

そんなこんなで、チイちゃんは、俺の所へやってきた。
そういうたぐいの漫画を読んだことがあるので扱い方は分かっていた。
風呂は、コーヒーカップで良かったはずだ。
玩具屋に行けば、人形用の服やミニチュアの食器も手に入った。

俺は、胸のポケットに入っているチイちゃんに話しかけた。
「なあ、チイちゃん、お前は、もう、それ以上、大きくならないのかい?」
「失礼ねっ!私は、もう大人なんですっ!もう、大きくならないんですっ!」
「そうか・・・、残念。」
「あっ、またHな事、想像したんでしょ?」
「違うって!(本当は、そうだけど。)
それより、チイちゃん、帰らなくても良いのか?」
「帰るって何処に?」
「自分の家だよ。」
「家は、此処なんですっ!雄介君の胸のポケットの中なんですっ!」

まあ、良いか!
深く考えるのは止そう。

俺は、チイちゃんと二人で見るビデオを借りにレンタルショップに向かった。

携帯少女2へ続く



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