少女



彼は、何気なく落書きをした。
チラシの裏に、サインペンで描いた。
女の顔を、描いた。
自分の理想を描いた。
「目は、こんな感じがいいな。鼻は・・・、口は・・・。」
とても、可愛く描けた。
彼は、気に入ったので、それを壁に貼った。
「こんな子に会いたい!」
彼は、その落書きの少女に恋をした。

毎日、毎日、街をさまよい歩いた。
そんな少女はいなかった。

彼は、日に日に痩せ衰えた。

ある夜、枕元に人が立っていた。
あの少女だった!
「ああ、やっと会えた!きみを捜してたんだ!」
少女は、ニッコリ微笑んだ・・・。



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