小ネタ集1



トッピー

僕は、子供の頃、トッピーと言う
雌の白い犬を飼っていた。
僕は、その犬と話ができた。
そう言うと、皆、嘘だと言うけど本当だ。
もちろん会話は出来ないけど、トッピーは、僕の話を理解してたし、
僕もトッピーの考えていることを理解できた。
僕が、学校であった嫌な事を愚痴るとトッピーは、「頑張れよ。」と
顔をペロペロ舐めてくれた。
本当に「頑張れよ。」と聞こえた。
でも、そのトッピーは、僕が中学生の時に 車にはねられて死んだ。
浜に墓を作ったが、誰かに荒らされた・・・。


焼きそば

小学校の給食の時間・・・。
おかずは、焼きそばだった。
僕の好きなおかずだ。
給食係の女の子が、「おかず、まだ、いる人〜!」とみんなに聞いたので、
僕は、すかさず「ハイ!」と手を上げた。
しかし、容器にてんこ盛りにされたのは、
肉の脂身だった。
しかたないので、全部食べた。
5時間目が終わった時、こみ上げて来る物があり、トイレでゲーゲー吐いた。


U先生

あれは、小学校の習字の時間だった。
書道大会に出す作品を書いていた。
A先生が休みで、代理のU先生が来ていた。
U先生は、年寄りで、その先生の授業は、皆、いつも騒いでいた。
その時も、教室は、ワイワイしていたが、僕は、真面目にしていた。
本気で、入選を狙っていた。
Tと言う書道を習っている女の子がU先生に「半紙もう1枚もらってええ?」と聞いた。
U先生は、ニコニコしながら「えーよ。」と言った。
僕も、あと1枚欲しくて、同じ台詞を言った。
するとU先生は、鬼のような顔をして、
「お前ら、どうせ入選せんのに、紙もったいないわ!」と言った。
僕は、失敗作をわざと提出した。
入選しなかった。


アベック

僕は、大阪の地下街を歩いていた。
向こうから高校生ぐらいのアベックが歩いてきた。
すれ違いざま何を思ったのか、男の方が僕を蹴るふりをして、
「こんなん弱いんやで!」と言った。
すると女の方が、笑いながら「やめたりよ〜。」と言った。
僕は、そのまま前に進んだ。
しばらくして猛烈に腹が立ってきた。
そいつらを殺すために後を追ったが、
もう、姿は見えなかった・・・。


お母さんの声

会社帰りの電車に乗った。
すると、何処からか思わず笑ってしまう様な甲高い声がした。
その方向を見ると、太ったお母さんと小さな子供が椅子に座っていた。
お母さんは、子供に絵本を読んであげていた。
僕は、吊革に捕まり外の景色を眺めながら耳だけ、その声を聞いていた。
本当に笑ってしまう様な声だった。
なのに、なぜだか僕は涙ぐんでしまった・・・。


青春電車

いつもの電車に乗った。
いつもと同じ朝。
でも、今日は、ちょっと違っていた。
後からやって来た電車が、僕の乗っていた電車に追いつき、しばらく並んで走る形となった。
その電車は、学校の貸し切りらしかった。
中学校か高校、遠足か修学旅行・・・。
ニコニコしていた。
あのVサインは何だ!?
段ボール箱を抱えて、ウロウロしている奴。
こっちを指さして何か言っている奴。
何やらシラケまくっている奴。
僕は、吹き出してしまった。
青春電車は、走り抜けていった。
僕は、俯いて会社に向かった・・・。


アダルトコーナー

僕は、レンタルビデオのアダルトコーナーにいた。
腹が痛くなり、少し屁をすかした。
ほとぼりが冷めるまで、文芸作コーナーに逃げた。
そこへ、ヤンキー5人組が、「アダルト借りようぜ〜!」と大声を上げながら入ってきた。
アダルトコーナーに行った彼等は、叫んだ。
「何、これ?!くっさ〜!!」
ヤンキー達は、すぐさま店を出てしまった。
僕は、じっくり作品を選んだ。




本屋さんに週刊誌を買いに行きました。
二冊、390円。
あらかじめ、ちょうどの金額を計算して持っていきました。
本を手に取り財布から、お金を取り出し レジのおじさんに渡しました。
と、その時です!ぼ、僕は、見たんです!!
おじさんの手に、ちぢれた毛が一本、乗っているのを!!
そうです、あの毛です!!僕の、あの毛です!!
一対、どうして!?なぜ、気づかなかったんだろう?!
おじさんは、お金のオマケに付いていたその毛を 見た時、
一瞬、不思議な顔をしました。

僕は、アパートまでクスクス笑いながら帰りました。
アパートに帰ってからも笑いました。
落ち着いてから思いました。
「あの本屋に、これからも、行けるかなー?」


一日社員

これは、大阪の電線会社で働いていた時の話だ。

今日、奴は、入社した。
奴は、見るからに「ドン」な感じ。
僕と同い歳だと言う。
昼は、自前の弁当を食べていた。
お母さんが作ってくれたらしい。
「ドン」な彼は、一番食べるのが遅かった。
僕は、奴が来て何だかホッとした。
救われた気持ちだった。
昼休みは、一緒に卓球をした。
僕は、何日振りかで笑った。楽しかった。
奴は、無口だが気のいい男だった。
昼ちょっと過ぎに、奴は帰った。
社長が、「荷物まとめて帰れ!」と言ったのだ。
社長は、ブツブツ言っていた。
「わしゃ、アホは、スカン!アホ見よったらイライラする!」
後で聞いた話では、奴を蹴ったとも言う。
奴は、誰にも声をかけられず、かけることも無く帰った。
空の弁当箱を持って・・・。




もどる

inserted by FC2 system