タマネギ夫婦



「タマネギいらんか〜♪おいしいタマネギやで〜♪」
今日も、タマネギ夫婦がやってきました。
リヤカーいっぱいにタマネギを積んで、ゆっくりゆっくりやってきました。

二人は、いかにも貧しい身なりです。
見るからに貧乏なのです。

疲れたら休憩です。
川で水を汲み、竹の皮で包んだ塩むすびを食べます。
おかずは、ありません。
水と米だけなのです。
それでも、二人は、おいしそうに食べるのです。

疲れが取れたら、また二人でリヤカーを押します。
「タマネギいらんか〜♪おいしいタマネギやで〜♪」

雨の日も風の日もタマネギを売りに来るのです。

ある時、やんちゃな子供がふざけて二人に石を投げました。
その石が、嫁さんの頭に当たったのです。
頭から血が流れました。
すると旦那さんは、その石を拾って自分の頭を叩いたのです。
旦那さんの頭からも血が流れました。
石を投げた子供は、驚いて逃げていきました。
タマネギ夫婦は、お互いの頭から流れる血をタオルで拭き合って、
何事も無かったように、また歩き出しました。
「タマネギいらんか〜♪おいしいタマネギやで〜♪」

暑いときには、汗を拭き合って、寒いときには、暖め合って、
タマネギ夫婦は、ゆっくりゆっくり二人で歩いて行くのです。

やがて、二人に子供が産まれて、その子が大きくなったら、
タマネギ夫婦のリヤカーの後ろを押して行くのでしょう。
そして、3人で声を揃えて歌うのです。
「タマネギいらんか〜♪おいしいタマネギやで〜♪」


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