ミキちゃんの花畑



荒れた空き地がありました。
花が大好きな小さな女の子ミキちゃんは、そこに花の種を植えました。
「綺麗なお花畑になれば良いな!」
毎日、空き地に行っては、花の種に水をあげました。

やがて、小さな芽が出ました。
「やったー!」
ミキちゃんは、喜んで次々に種を植えました。
芽は伸びて、花を咲かせました。
荒れ地に小さな花畑が出来ました。

ミキちゃんは、自分の花畑で遊ぶのが大好きでした。

ある日、ミキちゃんが花畑に行くと誰かに踏み荒らされていました。
折れて、しおれた花達。
ミキちゃんは、悲しくなりましたが、また種を植えました。

「今度こそ、綺麗なお花畑になりますように!」

小さな花畑が出来ました。
でも、また誰かに荒らされるのでした。
そのたびに、ミキちゃんは悲しい気持ちを堪えて種をまきました。
それでも、花を開いた花畑は荒らされるのでした。

ミキちゃんは、種をまくのを止めました。

時は流れて・・・。

お母さんになったミキちゃんが、小さな娘の手を引いて実家に帰ってきました。
懐かしい町並み。
もう少し歩くとミキちゃんが花畑を作ろうとした空き地があります。
近付いてミキちゃんは、目を疑いました。
そこは、一面の花畑になっていたのです。

花に水をやっているおばあさんにミキちゃんは訊ねました。

「あの・・・、此処って荒れた空き地でしたよね。」
「ええ、昔はね。
でも、誰が作ったのか小さな花畑があったんですよ。
その花が綺麗でね。
心を和まされた人が沢山いたんです。
それを憶えてた人達が集まって花の種を植えて、今は綺麗な花畑になったんです。」

「誰かが見ていてくれた!私の花畑を見ていてくれたんだ!」

娘が、目を輝かして言いました。
「お母さん、綺麗なお花畑だね。」
ミキちゃんは、「うん。うん。」と頷きました。


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