雪の降る夜



雪の降る夜でした。

一匹のヘビが冬眠をするために、道を急いでいました。
ポッンと雪だるまが立っていました。

ヘビは、雪だるまに話しかけました。

「キミは、こんなに寒いのに冬眠をしないのかい?」
「ボクは、ここから動けないんですよ。
どうぞ、構わずに行って下さい。」
「そうはいかないよ。
キミは、一人で寂しそうだ。
ボクが行ってしまうと、キミは、この暗い夜道で独りぼっちになってしまう。
それにキミは、とても寒そうだ。」

ヘビは、雪だるまの身体に這い上がり、首に巻き付きました。

「ボクが、キミのマフラーになってあげるよ。」
「そんなことをしたら、キミが寒くなるでしょ?」
「ボクは、平気さ。
これで、少しは暖かいだろ?寂しくないだろ?」
「ありがとう、ヘビさん。」

本当は、雪だるまは、ちっとも寒くありませんでした。
でも、ヘビの気持ちが嬉しかったのです。

ヘビの身体は、どんどん凍えていきました。
どんなに冷たくても雪だるまのために、我慢しました。

朝が来ました。
雪も止み、太陽が照りつけていました。

雪だるまは、水たまりになっていました。
その中に、ヘビの死体がありました。
学校へ向かう子供達がそれを見つけました。

「うわっ!ヘビだ!気持ち悪い!」

子供達は、ヘビの死体を棒きれで叩いたり足で踏んだりして
グチャグチャにしてしまいました。

その死体を、車が次々に轢いていきました。
もう、それは、何だったのか誰にも分からない状態になりました。

ヘビの魂は、雲の上に登って行きました。
そこに雪だるまの魂が待っていました。

「ヘビさん、待ってたよ!」
「あっ、雪だるまさん!キミも死んでしまったんだね。」
「そうなんだよ。
実はね、良いことを聞いたんだよ。
キミとボクは、神様が特別に好きな物に生まれ変わらせてくれるらしいんだよ。
キミは、何に生まれ変わりたい?」

ヘビは、答えました。

「ボクは、またヘビに生まれ変わるよ。
例え嫌われ者でも、ボクは、ボクに生まれ変わりたいよ。」
「そうか・・・。
じゃあ、ボクも、雪だるまに生まれ変わるよ。
生まれ変わっても、またボクを暖めに来てくれるかい?」
「勿論さ!!」

ヘビと雪だるまの魂は、仲良く空に登って行きました。



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