海ヘビ



そのヘビは、嫌われ者でした。
他の生き物のように、鳴いたり飛んだり出来ませんでした。
だから、海に逃げて海ヘビになりました。

海の中で、海ヘビは自由を感じました。

ある日、ウナギの大群に出会い、声を掛けられました。
「海ヘビ君、キミは、僕達と似てるね。いっしょにおいでよ!」
海ヘビは、ウナギ達の後に、ついて行きました。

一匹の綺麗な魚が、近づいてきました。
「今度、魚達のパーティがあるの。あなた達も、参加しませんか?」
海ヘビは、恐る恐る尋ねてみました。
「僕も、いっしょに行っていいですか?」
「もちろんよ!あなたも来てね!」

ウナギ達と海ヘビは、綺麗な魚に案内されてパーティ会場に向かいました。

そこは、別世界でした。
無数の魚達が、楽しそうに泳ぎ戯れていました。

ウナギ達は、ごく当たり前のように魚の群に飛び込んで泳ぎ回りました。
海ヘビは、取り残されました。
頭の中に、地上で散々言われ続けた言葉が蘇りました。
「お前なんか、あっちに行け!」

やがて、ゲームが始まりました。
決められた数字を当てた者にプレゼントが与えられることになりました。
なんと、海ヘビが、それを当ててしまったのです。
会場は、静まりかえりました。
あの案内をしてくれた綺麗な魚は、それを見かねて言いました。
「皆さん、海ヘビさんも、私達の仲間です。友達になってあげて下さい。」
それでも、海ヘビに近づく者は、いませんでした。
居たたまれなくなった海ヘビは、会場から抜けだしました。

「ここも、地上と同じだ!僕の居場所なんて無いんだ!」

海ヘビは、どんどん深いところを目指しました。
気が付けば、そこは、真っ暗な深海でした。

むこうからアンコウが辺りを照らしながら近づいて来ました。
「キミが連れている赤い生き物は、何だい?」

海ヘビが振り向くと、そこには、苦しそうにしている一匹のエビがいました。

「キミは、いつから僕の後を付けてたんだ?」
「あなたが、地上にいたときからです。
私は、地上では、バッタでした。
あなたの後に付いて海に入ったときにエビになったのです。」
「そんなことをしても何の得にもならないぞ!
キミまで僕と同じ嫌われ者になってしまうぞ!いいのか?」
「私は、もう、永くは生きられません。
せめて、あなたの側で死なせて頂けませんか?」
「だから、なぜ、そんなことをするんだ?」
「私は・・・、あなたが、大好きだから。」

海ヘビは、エビの身体が傷つかないように軽く口にくわえ、
猛スピードで泳ぎ始めました。



もどる

inserted by FC2 system